「パチンコはもうやらない。」22歳の元パチプロが、世界一周に出る理由
世界一周の理由を集めた本が、たくさん販売されています。
でも、実際に旅に出ると、旅人同士で旅の理由を話すことは、ほとんどありません。
ひとりひとり、人の数だけ理由があるはずなのに。
もしかしたら、とんでもないドラマがあるかもしれないのに。
そうやって、せっかく知り合った人の「旅に出る決断の理由を聞きたい!」と思ったことがきっかけで、世界一周インタビュー企画をはじめました。
第1回目は、22歳の元パチプロ・かずまくん!海外フリーランス体験講座で知り合い、もうすぐ世界一周へ旅立ちます。
そんな彼は、途上国のリアルを見たいから、旅に出るそうです。
世界一周のきっかけは?
旅に出る前は何をしてたの?
旅の過去と未来、そして出会いのセブ島留学の話を、聞いてきました。
かずまくんって誰?
今回、インタビューを引き受けてくれたかずまくんについて、ご紹介します。
海外フリーランス体験講座の同期
かずまくんは、今回わたしが参加していた海外フリーランス体験講座の同期です。
現在22歳、これから、世界一周に出る予定です。和歌山県出身の、バリバリ関西弁なやつです。
なので、はじめて出会ったのはセブ島。インタビューするつい2週間ほど前……。
見た目は年相応だけれど、考え方がしっかりしている22歳です。
元パチプロでこれから世界一周に出る予定
そんなかずまくん、実は元パチプロ(パチンコで生計を立てている人)で、組織に所属して仕事をしていたそうです。
ここ3年ほどしていたパチンコを辞めて数ヶ月経って、セブ島にやってきました。
セブから帰ったあと、成田から地元・和歌山までヒッチハイクで帰るという、アクティブな子!
今回、そんなかずまくんに世界一周の理由や今後の話をガッツリ聞いてみました。
かずまくんのSNSはこちら↓
(ツイッター)
(ブログ)
世界一周に出ようと思ったきっかけは、なんとなく
そもそも、世界一周に出ようと思ったのって、いつなのか、聞いてみました。
高校生の頃からなんとなくしたかった
–いつどこで、世界一周っていうことばを知ったん?
バックパッカーっていうことばを知ったのは、高校生のときやな。ネットで、「カバン1個で旅している人がおる」って知ったんやと思う。
その前から、世界を見たいとは思ってて、なんとなくそのまましたいなと思ってた。
–高校卒業して、すぐに世界一周しようとは思わんかったん?
うん、金がなかったから。というか、パチンコの方が楽しかったな。
世界見るよりも、パチンコで負ける方が楽しかった。負けてもなお、楽しかった。
高校生の頃からパチンコをはじめる
–高校生のときからパチンコやってたんやんな?けっこう稼いでた?
いや、負けてた。
高3くらいから勝ち出して、儲け出したかな。運がよかった。
月10〜30万円の間では稼げていたかな。あんなもん、確率の上にたっているだけでほぼ運やから、俺は運が良かっただけ。
高3の時点で稼いでいたけれど、仕事が楽しすぎたから世界一周にはまだいかへんかった、って感じかな。
–そうなんやー。ちなみに、資金もパチンコから?何年くらいで貯まった?
しっかり貯め始めたのは1年半前から。
毎月いくら貯めたいとかではなく、使って余った分を貯金にまわしていたかな。だから、苦労して貯めたわけではない。
–すごいな……。
割と週に6日、朝から晩まで働いていたから、そうなる。それに、22時とかまでパチンコしてるから、儲けても使いようがない。
プレステ4を買って、ゲームかパチンコって感じやな。どっちかというと、出不精やねん。旅行したくても、いざとなると出かけへんから。
–ゲームの方が楽しい?
どっちも楽しいけれど、実行に移すのはパチンコよりゲームの方が簡単。
やるまでがめんどくさいだけ。いざやってしまえば大丈夫。
普段は「今日もとりあえずゲームかな」みたいな。別にゲームは楽しいけれど、エキサイティングではないな。
パチンコはもうしない
–ゲームは新しいことでもないから、エキサイティング加減はパチンコの方が上?
昔はそうやったけど、今はちがう。パチンコに対してもスパってやめたから。
やめてから、1回しかやってない。もう打ちたいとは思わへん。
–めっちゃ行きたいってこともない?
うん。仕事してるときに「行きたくない」と思いながらやってたから、もう思わへん。ただただ嫌い。
やっている人には悪いけれど、パチンコは時間の無駄やと思う。時間の無駄って言いながらゲームで時間を無駄にしているけれど。(笑)
でもまあ、パチンコの経験は全部がムダじゃないとは思っている。そう自分を言い聞かせているかな。
–やめるとき、収入がなくなることに対する不安はなかったん?
別に。貯金があるから。
–そうかー。パチンコやめたくなかったけれど、やめたんかと思ってたよ。
いや、海外旅行したいからっていう理由だけじゃない。もちろん、海外旅行したいのもあるけれど、タイミングや年齢的に区切りをつけるため。モチベーションの低下がすごかった。
組織で働いてたから、モチベーションが低いのはまわりにも悪影響。
だから、「このモチベーションが下がったタイミングで行くか!」みたいな気持ち。お金のおかげでビジョンが見えて、気持ちが世界一周に向かったのもある。
世界一周から帰国後
–帰国後も、パチンコやる可能性は0?
俺は0にしたい。別のビジネスをしたいと思ってる。
パチンコから、ほんまに得るものがない。お金はよかったし楽しかったし、滅多にない経験をしているのはある。
でも、生きていく方法としてパチンコはない。
今の自分からすると、効率が悪い。
普通の仕事やったら、時間や技術を対価にしてお金を得ているやん。経験で得るものがある。例えば、営業やったら人脈、技術職やったら専門知識とか。
でも、パチンコっていう狭き門の知識は、パチンコでしか使えない。
パチンコの仕事では活きていくけれど、他の仕事になったときに活きない。だから全部の価値、人間関係とか、ビジネスマナーとか、ない。お金は稼げるけど、全体的に得るものはすべての業種の中で下。
自分の中でいまお金の価値が下がっている。でも反対に、お金以外のもの…例えば経験とか人脈とか、スキルとかの方が、いま自分の中で価値が高くなっている。
あとは単純に、飽きた。
–そうかー。でも確かにね。
パチンコと、あと高校卒業後にしてた現場仕事も、ちがうと思ったらすぐにやめてる。だから、世界一周も「ちがう」と思ったら、やめると思う。
アジアを中心にまわって、他の国も比較対象としてまわる
–世界一周とかやりたくてやってるのに、「一周するまで帰らない」ってなっちゃったら、時間もお金も無駄よね。
一周中は、「アジアを中心にまわりたい」って言ってたけれど、アジアで満足したら、日本帰る可能性もある?
もういいやと思ったら帰るけれど、そう思う可能性は低い。
「現地のリアルを見たい」って言っているのに、途上国を見たあとに先進国を見ずに帰国するのもどうかなって。発展途上国だけ見て、先進国はネットの情報だけで比べるって言うのは意味わからへん。
今回の旅で行くとかは別として、いずれ行く。
比較対象として、さらに途上国に対する見解を深めるために行く。
–日本も先進国やけど、またちがうもんね。
そうそう。
途上国にも先進国にもレベルがあるわけやから、見解を深めるために見なかったら本質は見えてこない。
海外フリーランス体験講座で、価値観が120°変わった
今回のセブ島が、初めての海外だというかずまくん。この海外フリーランス体験講座や、海外について聞いてみました。
フィリピンに来てもあまりテンションは変わらない
–今回が、はじめての海外やろ?フィリピンとか初めて海外きて、どう?
なんとも思ってない。
–日本と同じ感じ?
「すげー」って感じ。「臭いな」とかはあるけれど、特に感想はない。
−「海外きたー」みたいなテンションあがる感じもない?今後も?
空港についた瞬間くらいしかない。「外人がおる」とか、警備員が銃をぶらさげているときとかかな。
これからあがるんかな。あんまり上がらんと思う。じわじわあがるんやけど、ウェーイとして発散はされない。
−楽しいときとか、あんまり表には出さないタイプ?
出してるつもりやけど……。
日本でもセブ島に来てからも言われるけれど、年上に見られる。26〜28歳くらいに見られて、「落ち着きすぎてる」とか言われる。そういうつもりはないけど。
−今年23やっけ?
うん。「他の子ってもっと落ち着きないやん」とか言われるけど、一緒やと思う。何が人とちがうんかわからん。
–はじめて会ったとき、年齢は22・23には見えたけど、まあ中身は落ち着いてると思う。大学生よりは落ち着いてるかもね。
実感したのは、2・3個上の人と話していても話があわへんかったとき。合うのは25歳以上。下とはあんまりあわへん。
サウスピークにおる人でも、「同い年くらいかな」と思ったら28、29歳くらいの人が多くて、その年齢の人と話が合う。
でも、俺の考え方が大人っぽいからとか思ったことはない。
なんでかは分からへんけど、好きになるのも年上ばかり。最近はもう年下に対して、恋愛感情にならへん。話がおもしろくない。
だから、年上の彼女が欲しい!!(笑)
比較でいろいろなことが分かる
−改めて、「アジアを中心にまわる」って言ってたのは途上国を見たいから?
うん、先進国は観光って感じで楽しくない。なんか、普通に生きてたら生きてる感覚がないから。死を感じてる方が、生きてる感覚がする。
死にたいとも思ってないけど、行こうと思えば行ける環境に行く方が、生かされてる感がでてくる。日本とかで暮らしてもおもしろくない。
−フィリピンで生きてる感覚はあった?
あるかな。やっぱり全部において人間って、何かと比べるから。
「300万貯めたらすごい」って言ったりするけれど、貯めたからすごいんじゃない。
23歳のやつがそれだけの貯金があるっていうことが、平均的に見てすごいだけ。比較対象があるからわかること。
スラムとかストリートチルドレンとか、見るだけで自然と比較していて、俺の方が生きてると思う。ちゃんと生きてる。
そういう比較の仕方をして物事を決めるからこそ、スラムで楽しそうな人を見るとパニクる。脳みその常識として貧乏な人を見ると「かわいそう」が普通やのに、「あれ?楽しいの?」ってなる。
日本におったら〝貧乏で仕事もないって不幸せ〟ってなるやん。でも、ここではちがう。
幸せも健康も、全部裏側があって比較して見えることやと思ってるから。
今回、「スラムでも笑っている人がおる」っていうパターンを入れたから、自分次第っていう考え方になった。
–〝貧乏な人は不幸せ〟とか、そういう価値観って、世界一周したら変わると思う?
思う、すでに変わってきているから、変わると思う。
−ちなみに、「物事に裏側がある」とか、前からずっと考えてたん?
「そんな感じじゃね?」っていう考え方。ただ単に、世界中の人が笑ってたらそれが幸せになるだけやん。冷めてるんかな。
セブに来てから考え方が変わってきた
−ぱっと見冷めてるけど、ずっと冷めてるわけじゃない。
俺はしゃぐやん。
−うん、自分でも冷たく見えるって思う?
冷たく見えるんやろうなと思う。
−別にそう思われていい?
うーん。
一般的な〝あたたかい〟って、スラム行って「かわいそう」って感じる、みたいなことやん。そう言ってみれば、今回の参加メンバーは行っただけやから、全員冷たい。
(※海外フリーランス体験講座の一部で、スラム街に行っています)
表面とか「かわいそう」ってことを汲み取りたいわけじゃない。本質はそこじゃないと思うから。
うさんくさい「かわいそう」が悪いわけではない。そういうところでも「かわいそう」なことに関心がない。人の関心があるところだけ関心を持っているから。
考え方が変わってきてるから、話の内容が矛盾してるかも。
−話を聞いてる限りでは一貫しているよ。
基本的には一貫しているけれど、うん。
例えば変わったこととして、自然と人のことを避けたりしなくなった。
俺に興味のない人に自分からは興味もたないけど、今回来てみて人との出会いって大切やと思った。
もともとコミュニケーション能力は高くない。それに、いままでは自分のバックホーンが嫌いやった。パチンコとか、いままでは人に言いたくなかった。
でも、人のことを肯定したら自分のこと(パチンコ)も肯定できた。いままでパチンコを隠してたときは、同じようにパチンコやってる人のことも、クズやと思ってた。
でも、いままでしてた仕事を肯定的に捉えるようになったら、相手のことも肯定的になった。
−もともとパチンコのこと、あんまり人に言ってなかったん?
もともと、体験講座のメンバーには「派遣やってました」って言おうと思ってた。
でも、「3週間しか会わへんしいいや!」と思ってさらけだしたら、予想以上に受けた。
いままで否定してたけれど、自分のことを肯定した瞬間、人にも寛大になれた。
「こんなやつやけど、自分のことは好きやからお前も自分のことを好きになれよ」って言えると思う。
いまは自分が好きやから、自分と同じくらいわけわからんやつでも好きになれる。そういう変化がこっちにきてからあった。自分でも気づく変化で、俺はいい変化やと思っている。
変化のきっかけ
−パチンコのことは、いつ肯定できたん?
(あたりをキョロキョロ見渡して)
きっかけは、イカさんが裸足やったから。最初、変人やと思った。(笑)
(※イカさんとは・・・同じく海外フリーランス体験講座の参加者。基本的に、裸足で歩いているブロガーさん。)
自分がしていることを誇りに思っている人があらわれて、これだけの人が許されるなら、パチンコも許されるんじゃない?と思いはじめた。
カルロスさん(運営でブロガーさん)もめちゃくちゃ自分のことさらけだしてて、「この人変やな」って。
あの人らが俺のことを変えてくれた。別に、自分で自分のこと肯定してたらいいって。
−1回、裸足になってたのもイカさんの影響?
(かずまくんは、セブに来てからしばらく裸足で過ごしていました)
うん。いい効果あるって言うし、「1週間試してみよう!」と思った。
でも、たばこ吸ってるときに足元に毛虫がいて、その瞬間から毛虫を気にする生活が始まってストレスになった。挙げ句の果てには風邪引くし。
「何が裸足やねん!」って、俺にはあわへんかった。だからやめた。(笑)
−さっき言ってたことと一緒で、「とりあえずやってみなわからない」ことと一緒やんね。
そうそう。
人の話聞いてて、「へーすごいですねー」っていうのって、ただの相槌やん。実際はすごいと言いつつみんな思ってないから。
イカさんの開放感を感じて、俺も変わるのかなって興味がわいたからやってみた。それで、あわへんし、健康にいいって聞いたのに風邪引いたし……。
でも、裸足はやりたいと思ったからやった。
−自分に正直でいいよね。実際、実行する人ってすくないもん。
相手から先にさらけ出されたら、こっちも出さなあかんかもって思う。こっちからぶつけてしまえば、相手も出してくれる。
カルロスさんとか引き出し方がうまいし、コミュ力も高いと思う。藤沢さん(プロブロガーさん)も高い。
自分で1個の爆弾を投げて、「君もいいよ」って投げさせてくれて、かつその爆弾をきちんとキャッチしてくれる。
世界一周に向けて……
最後に、世界一周の準備と意気込みについて聞きました。
講座中に準備はした?
−講座中に世界一周に向けて準備はした?
してない。
−これから?
うん、ブログとか。
でも、ブログは、ほぼ手つけへんって決めてる。ルートも、決めたくないと思ってる。
−期間とかも決めてない?
期間はお金から逆算した。150万円で半年くらいかなって思ってる。
世界一周の意気込み
−さいごに、世界一周の意気込みをどうぞ!
意気込み?意気込みもクソもないわ。
ノリできてるし、変わりたくてきてるわけではないし。
死なへんかったらなんでもいい。死なずに重症も負わずに、手足もあって、健康的に帰りたい。それだけ。
まとめ
海フリで出会った、元パチプロで世界一周に行く予定のかずまくん。
世界一周についての話を聞くつもりだったのですが、思いがけずセブ島に来てからの変化や、変わるきっかけの話が聞けました。
22歳でこれだけ考えられるのって、いろいろな経験をしてきたからなんだろうなあと思います。
「自分をさらけだしたら相手もさらけだしてくれる」
これは、コミュニケーションで大事なことのような、そんな気がします。
最後の意気込みも、「かずまくんらしいなあ」と思いました。
無事に帰ってきてね。
ありがとうございましたー!
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サウスピーク近くのホテル内にあるカフェ!
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